質屋やブランド買取店で「買取できない」と言われる理由は?
【質問】
質屋やブランド買取専門店などで「買取できません」「この品物はわかりません」と言われたら、どうすれば良いでしょうか。
【回答】
皆さんの中に、質屋やリサイクルショップで質入れや買取のお願いをした時に、「この品物は弊社の基準では買取できない」とか「この品物に値段を付けることはできません」と言われた経験のある方はいませんか?
査定員の言うところの「弊社の基準では買取できない」とか「値段を付けることが出来ない」とか「わからない」とはどういう意味なのでしょうか?
【目次】
【1】買取や質入れをお願いした品物を、皆さんはどちらで入手したのでしょうか?
②正規店や正規ブティック以外の店舗や、ヤフーオークションやメルカリ等、個人から購入した
【2】査定員の「基準に合わないので買取できない」「判らない」という本当の意味は
④本物ではあるが、そもそもの価格が安く買取金額をつけれつけれない場合
【3】質屋やリサイクルショップの査定員が「偽物です」と言わない理由は
【4】質屋やリサイクルショップで「基準に合わないので買取できない」「判らない」と言われた時の対処法
【5】質屋やブランド買取店で「買取できない」と言われる理由は?まとめ
目次
【1】買取や質入れをお願いした品物を、皆さんはどちらで入手したのでしょうか?
皆さんは、買取や質入れをお願いした品物をどちらで入手しましたか。質屋やブランド買取店で「弊社の基準では買取できない」とか「値段を付けることが出来ない」とか「わからない」など言われる理由は、持ち込んだ商品の入手先が判れば、問題はとても簡単に解決できます!
①そのブランド品の正規店や、正規ブティックで購入した
このケースで、質屋やブランド買取店が「買取できない」とか「わからない」というケースは無いと思います。もしそんなケースに遭遇したら、その査定員は勉強不足で正規品さえも査定できないだけなので、別のお店で相談すれば良いだけの話です。何軒かの質屋やリサイクルショップに相談すれば、買取査定額のおよその金額が判ってくるでしょう。
②正規店や正規ブティック以外の店舗や、ヤフーオークションやメルカリ等、個人から購入した
このケースでは、皆さんに商品を売った店舗や個人がどこで商品を仕入れたかわからないので、偽物の可能性が有るかもしれません。須賀質店でも「この品物が本物か偽物か鑑定してください」と依頼されることがあるので、正規店以外のお店で購入した商品というのはかなりの数が出回っているのでしょう。
正規店以外の店舗で購入したり、オークションやメルカリなどの個人間売買で購入した時に、保証書、ギャランティカード、正規店で購入時のレシートがある事を、本物であることの裏付けであるように言われることがありますが、保証書やギャランティカード、レシートの偽物やコピーも出回っていることをご存知でしょうか。
質屋の店頭で多数のブランド品などを扱っていると、見た感じも触った感じも違和感のある保証書やギャランディカードに遭遇することは良くあります。当たり前の話ではありますが、本物か偽物かを心配するのであれば、正規店以外の店舗で購入しないことですね。
③こんな騙しの手口もあります
悪意があってやっているのかどうかわかりませんが、最近見事(?)な騙しの手口に遭遇したのでご紹介します。下の画像はロレックスデイトナ16520型についていた保証書の画像です。ロレックスの時計は現在のところ、買取も質入れも査定価格が上昇中で、特にスポーツ系モデルの査定価格上昇が大きいです。
そして、スポーツ系ロレックスでデイトナ 16520型というモデルは、保証書のある、なしで査定価格が100万円ちかく変わってくる場合が有ります。すると、保証書のないロレックスデイトナ16520型に偽造した保証書を付けて、質屋や買取店に持ち込む者が出てきます。
「見事な騙しの手口」と申し上げたのは、この画像の保証書自体はロレックスの本物の保証書です。本物の保証書をどこかで入手して、もともと記載のあったモデル番号やシリアル番号を上手にかくして、デイトナのモデル番号とシリアル番号をパンチ穴で表示しています。
本物のロレックスデイトナ16520型に、偽物の保証書を組み合わせて100万円以上高い査定金額を狙ってきたわけです。この場合の例の保証書自体はロレックスの本物だったので、騙しの手口としてはプロ級と申し上げて良いのではないでしょうか。
【2】査定員の「基準に合わないので買取できない」「判らない」という本当の意味は
質屋やブランド買取専門店の査定員が「この品物は弊社の基準に合わないので、買取できません」とか「わからないので値段を付けられません」とか言う本音はどうなんでしょう。すべて偽物なんでしょうか?シロ、クロ判断するように、偽物か本物かの判断をすることが出来たのでしょうか?
①明らかに偽物であると判断できた場合
査定員は社内の研修や、日々の実務の中で、たくさんのブランド品やダイヤ等の宝石や時計の査定をしているので、明らかな偽物とかコピー品があれば、たいていの場合はNGを出すことが可能です。実際にどのような個所を見ているかと言えば「ひとつひとつの部品の仕上げ具合」「触った感覚」「商品に記載されている文字のフォントの形式」「商品の色や形状」「時計であれば、リューズの回した感覚や内部機械の音」などを細かく見極めているのです。
②本物ではあるが偽物の様に見える場合
査定員が本物か偽物かを判断する基準は、①でお話しした通り、商品の細かい部分の仕上げや部品の形状や色、文字のフォントや形状であるお話をしました。しかし、たくさんのブランドバッグやジュエリーや時計を見ていると、部品や文字の形状が通常と異なっていたり、塗料の付き方がずれたりムラになっているブランド商品に出くわすことが有ります。
こんな時、査定員としては「商品としては本物に違いないがちょっとおかしい。売った後にクレームになりそうだからやめておこうか」と判断して、「弊社の基準に合わないので買取できません」とか「判らない」といった対応になる場合があるのです。
査定の現場にいて感じるのが、職人の手作りであることを強調しているメーカー品に、本物に違いないが偽物と判断したくなる商品が多い気がします。エルメスの革製品やフランクミュラーのジュエリーなどは作業工程のほとんどが職人の手作業ですから、手作業ゆえの製品のバラつきがあります。
また、革製品などは素材そのものが精密な工業製品とは異なり個体差があるので、触った質感、切断した切り口などに違和感を感じることが少なくありません。
このために、「本物かもしれないけれど、買取した後に売りにくそうだ」「売った後にクレームが付きそうな部分がある」と査定員に判断されてしまうと、買取や質入れの場で「弊社の基準に合わないので買取できません」とか「判らない」などと言われてしまうことがあります。
③本物ではあるが、販売できないくらいに使い込まれている場合
質屋やリサイクルショップがブランド品を買取するのは、買取した品物を販売することが目的です。買取したブランド品は汚れを落としたり形を整えたり、壊れている物は修理して買取価格より高く販売するのですが、きれいにクリーニングしたり修理したりしても売れないくらいに傷んでいる商品は買取が出来ません。そのような時に「弊社の基準に合わないので買取できません」とか「判らない」という対応をされる場合があります。
しかし、エルメス、ルイヴィトン、シャネル、グッチ、セリーヌといった一流と言われるメーカーのバッグや財布であれば、かなり使い込んで汚れていても買取査定価格が付かないことは少ないと思います。これらのメーカーよりもカジュアルメーカーであるコーチ、トリーバーチ、ケイトスペード等のバッグや財布は、使い込んでいたんでいる場合、買取できないと言われる場合があるでしょう。並行輸入品の多いカジュアルなメーカーのバッグや財布は、使用頻度が高いと買取できない場合が多いと思います。
④本物ではあるが、そもそもの価格が安い場合
本物のブランド品でも、そもそもの価格が安い場合は新品未使用品であったとしても買取する事が出来ない事があります。買取金額をお付けする事が出来るブランドはやはりそれなりに販売価格も高額な場合が殆どです。
コーチ、トリーバーチ、ケイトスペードなどのブランドは低価格帯ではありますが、人気があるため買取する事が出来る事が多いです。ただ、状態が良くて1,000円前後という査定が多く、状態が悪ければ買取をお断りする事もあります。
⑤盗品の疑いがある場合
質屋やリサイクルショップには、不正品 いわゆる盗品が持ち込まれる場合があります。盗品を買取したり質入れしてしまうと、所有者が判明して返還を求められた場合、無償で返還しなければならないので店舗としては大きな損害になります。そのため、店舗に持ち込まれた商品が盗品かどうかを、常にチェックするようにしているのです。
しかし買取や質入れの現場にいると、盗品かどうかの判断はコピー品か否かの判断と比較して、かなり難しいと言わざるを得ません。盗品であっても本物であれば、見た目は全く同じだからです。
しかし、盗品は品物の足取りが判らないように、シリアル番号を消していたり書き換えている場合があります。家電製品や高級時計などが盗まれたときに、警察は被害品のシリアル番号を控えて盗品や犯人の捜索をします。
そのために買取や質入れに持ち込まれた商品のシリアル番号が消えていたり書き換えられた疑いのある商品は「弊社の基準に合わないので買取できません」とか「判らない」という対応をされる場合があります。ただ、ブランドバッグなどで長く使用していたり、時計など部品がこすれ合って、シリアル番号が消えてしまったり見えづらくなっている場合もあるので、シリアル番号が消えている=盗品である、という話ではありません。
【3】質屋やリサイクルショップの査定員が「偽物です」と言わない理由は
ここまでのお話で、質屋やリサイクルショップの査定員は品物をチェックしている段階で、本物か偽物の判断をして、買取が可能かどうか、いろいろ考えていることをお話ししました。でも彼らは「この品物は偽物だから買取できません」という言い方をしませんが、それはなぜでしょうか?
それは、本物か偽物かの判断が出来るのは、その持ち込まれたブランド品の商標権を所有しているメーカーしかできないという考え方をしているからです。査定員たちは、自社が買取をするか否かの判断をするだけで、本物か偽物かを判断する立場ではないというスタンスで査定をしているのです。
【4】質屋やリサイクルショップで「基準に合わないので買取できない」「判らない」と言われた時の対処法
最後に、質屋やリサイクルショップで「基準に合わないので買取できない」とか「判らない」と言われて、買取不可とされた場合は、どうしたらよいのでしょうか?
①買取や質入れをあきらめる
ご自身が購入先や仕入れ先を知っていて、明らかに偽物である確率が高いことが判っているのであれば、その品物を買取や質入れすることはあきらめた方が良いかもしれません。偽物であることをわかっていて買取や質入れを行うと、商標権の侵害に該当する場合がありよろしいことではありません。
現在はコンプライアンスを強く求められる時代であり、偽物やコピー品を流通させるという行為を軽く考える時代ではなくなっている様に思います。偽物やコピー品を質屋や買取専門店に持ち込んで、簡単にお金を手に入れようというような行為は、反社会的行為であるために質屋業界も買取、リサイクル業界も厳しい姿勢で対応時代になったと感じています。
②別の質屋やリサイクルショップで相談してみる
【2】の②でお話しした通り、本物ではあるが一部の作りや仕上げが通常と異なっているために、買取不可の判断がされる場合があります。こうした場合は、品物そのものは本物なので、持ち込んだ質屋やリサイクルショップの査定員の判断で、通常通り買取や質入れが行われる場合があります。
ご自身の品物の購入先や仕入れ先が信頼できるところであれば、何店舗かの質屋やリサイクルショップで査定をお願いしてみるのが良いでしょう。ただし、複数店舗で同じ対応をされるのであれば、所有している品物は本物ではない可能性があるでしょう。
【5】質屋やブランド買取店で「買取できない」と言われる理由は? まとめ
高価なブランド物のバッグや時計、ブランド物のリングやネックレスを購入する時は、そのブランドの正規店で購入するのが最も安心できる買い方といえます。高い購入価格を気にして、ネットオークションや質屋やリサイクルショップで購入する場合は、取引数の多い信頼のできる店舗を選ぶべきです。
鑑定書や保証書があったり、オークション説明文で正規品である説明があっても、その商品がコピー商品でないという裏付けにはなりません。【1】の③でご紹介したようなプロ級の騙しの手口というのは、質屋の店頭でもたびたび遭遇しますし、こうした悪質な手口にかかれば、普通の方であれば簡単に騙されて、後々不安な気持ちで心配しなければなりません。
中古ブランド品の購入の際は、慎重にお店選びをしてください。