プッシュボタンのとれた時計の買取について
腕時計は普段から腕につけているので、思いもかけないアクシデントでぶつけてしまったり、傷をつけてしまったり、最悪なことには壊れてしまったりすることがまれにあります。
こうしたアクシデントに会って壊れてしまった時計は、質屋で取り扱ってもらえるのでしょうか。今回は須賀質店に持ち込まれた「プッシュボタンのとれた時計の質入れ」についてお話しします。
プッシュボタンのとれたクロノグラフ付の時計が持ち込まれた
こちらの画像はタグホイヤーセナモデルクロノグラフの時計です。F1ドライバーだったアイルトン・セナ選手のモデルというのは、いくつかの時計メーカーから発売されていて、タグホイヤー、ウブロ、オメガなどのメーカーから発売されていたと記憶しています。1994年5月に、サンマリノグランプリの決勝レース中の事故で帰らぬ人となってしまったアイルトンセナ、いまでも自分の頭の中にはタンブレロコーナーのコンクリートウォールに突進するウイリアムズのマシンが鮮明に思い出されます。さて、このタグホイヤーのセナモデルですが、上側のプッシュボタンが失われています。おそらく何かに激しくぶつけて取れてしまったのでしょう。ボタンが取れてしまった穴周辺をよく見ると、かなりの汚れが見られるので、使っているうちに水が入って、さびて折れてしまったのかもしれません。
査定時に質屋が気にすること
こうしたプッシュボタンが取れた時計を見たときに質屋が最初に考えるのが「修理ができるだろうか」ということです。その後に考えることは「修理代でいくらくらいかかって、査定価格を上回ることはないだろうか」ということです。
どんなに強気で査定価格を出したとしても修理代が査定価格を上回ってしまえば、質入れでも買取でも取引することはできません。
自社で修理が出来れば、修理代を低く抑えることが出来る
プッシュボタンが取れたり壊れて動かない時計などは、通常時計メーカーのブティックに持ち込まれるものです。画像のタグホイヤーの時計であればタグホイヤーの正規代理店やLVMHグループ(タグホイヤーの属しているグループ)の窓口に持ち込まれて、正規メーカーの修理を受けることになるのですが、こうした正規メーカーの修理というのは価格設定が高めです。質屋や中古販売店では社内に修理のできる技術者がいたり、信頼できる外部の時計修理職人と通じていて、正規メーカー修理価格より割安な価格で時計修理をできる手段があります。こうした、割安な価格で修理やメンテナンスの手段を持っている質屋や買取店は、壊れた時計で高額な修理代がかかると予想される時計であっても、質入れや買取の取引をすることが出来るのです。
外部からルーペで見ただけで状況を把握できる経験のある査定士かどうか
壊れた時計は、本来は裏蓋を開けて分解し、修理方法を決めて初めて修理代の見積もりができるのですが、店頭で裏蓋を開けて中身を確認することはできません。査定士はルーペで外部から詳細に時計本体を見るだけで、およその修理状況と修理代を予想しなければなりません。このスキルは、壊れた時計を何度も扱った経験があって、修理について時計技術者と打ち合わせをしたり、実際の修理作業を見たりした経験者でなければできない技術です。
壊れた部分だけで済まないことも多い
今回の例はプッシュボタンが取れた時計ですが、こうした部品は簡単に取れてしまうことは少なく、激しい衝撃でぶつけたとか、汗や汚れがボタン周辺に蓄積して部品が錆びて取れてしまったものと思われます。時計は精密機械なので、激しくぶつけると内部の機械が破損しますし、汗や汚れが内部に入れば内部の機械そのものが錆びてしまっている場合もあります。
壊れた時計でも多くの経験を積んだ査定士のいるお店で相談を
壊れた時計、プッシュボタンのとれたような時計であっても、同様の時計を多く扱っている質屋や買取店であれば、実物を見せて相談してみる価値はあると思います。須賀質店ではこの例の様なプッシュボタン取れの時計、動かい時計、針が取れてしまっている時計、ガラスの割れた時計など、数多くの壊れた時計をあつかった経験があります。壊れた時計の質入れや買取をお考えの方は、一度ご相談ください。