金の比重とは?密度や純度を見極める計算方法を解説!
金の比重は、金を買取してもらう際に買取価格を決める重要な要素になります。買取店や質屋では、専門の機械やプロの査定員による鑑定によって、金の比重を見抜きます。しかし買取前に金の比重を知っておきたいという方もいらっしゃるでしょう。自宅にあるものを利用することで、プロではない方でも、ある程度の金の比重を算出できます。
この記事では、金の比重の基本知識や比重の調べ方、算出方法などについて解説します。
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金の比重とは?
比重とは、物質の密度を比較するための相対的な指標を指します。金は他の金属よりも密度が高く、同じ体積であっても金のほうが重い性質があります。
密度とは物質の体積あたりの質量で、金属の密度は、「g/cm3」の単位で示します。
金の比重は、純金で約19.32g/cm3です。ただし、すべての金製品がこの比重というわけではありません。なぜなら、金製品の多くは純金ではなく、他の金属を混ぜた合金だからです。
金は純金のままでは非常に柔らかく加工がしづらいため、他の金属を混ぜることで強度を出しています。一般的に多く出回っている18金は75%、14金は58.5%の金の配合率となっています。他の金属が混ぜられている分、純金とそれ以外の金製品は比重が異なるため、比重を測ることで、金の純度を調べることができます。
純金の比重と他の金属との違い
先ほども述べた通り、金属の種類によって比重の数値は異なります。金と金以外の貴金属の比重の一覧は下記のとおりです。
貴金属種類 | 比重(密度:g/cm3) |
純金(K24) | 19.13~19.51 |
プラチナ(Pt999) | 21.24~21.66 |
プラチナ(Pt950) | 19.84~20.85 |
プラチナ(Pt900) | 18.61~20.08 |
プラチナ(Pt850) | 17.53~19.38 |
プラチナ(Pt800) | 16.56~18.72 |
銀 | 10.53 |
銅 | 8.93 |
ロジウム | 12.44 |
ニッケル | 8.90 |
鉄 | 7.87 |
鉛 | 11.36 |
チタン | 4.51 |
プラチナは、金よりも比重が重く、希少性の高い金属で、婚約指輪や結婚指輪などジュエリー製品で多く使用されています。金と同じく、純度100%では加工が難しいため、多くはPt950やPt900などが製品として使われています。
純度別|金の比重(密度)一覧
ここでは、金の純度別の比重をご紹介します。金の純度は、多くは製品に刻印されているものを見れば判別できますが、中には刻印がないまたは薄れて確認できないものもあります。そうした製品は、比重を確認することで純度を判別することができます。
それぞれの金の純度の比重値は下記のとおりです。
金の純度 | 金の配合率 | 比重(密度:g/cm3) | 特徴 |
24金 K24 | 99.9%以上 | 19.13~19.51 | 混合物が含まれていない純金
純金ならではの輝きがある |
22金 K22 | 91.6% | 17.45〜18.24 | 純金に比べて耐久性がある |
18金 K18 | 75% | 14.84〜16.12 | 金の純度と耐久性のバランスが良い
加工しやすく多くの金製品に採用されている |
14金 K14 | 58.5% | 12.91〜14.44 | 金特有の輝きは少ないが強度は高い
変色のリスクが高い |
10金 K10 | 41.7% | 11.42~13.09 | リーズナブルな価格で入手できる
金属アレルギーのリスクが高い |
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金の比重を調べる方法は?
ここでは金の比重を調べる方法についてご紹介します。前述の通り、金の純度を調べる場合、刻印をチェックできればすぐに純度を把握できますが、中には刻印が把握できない製品もあります。金の比重がわかれば、刻印がなくても上記の表を参照してどの純度なのか把握することができます。
金の比重は専門の機械を使うことで、簡単に調べられますが、プロではない方が専門機器を購入するのはハードルが高いでしょう。しかし自宅にある道具を使うことで、プロでなくても金の比重を調べることができます。
ここでは比重を測る下記の2つの方法についてご紹介します。
- 比重計を利用した測定方法
- 水中重量法による比重測定
比重計を利用した測定手法
1つ目は、比重計を利用した測定手法です。比重計とは、金やプラチナをはじめとした貴金属の比重値を測るための機械です。金の買取で利用されることが多く、買取業者や質屋では貴金属の純度を判別する際に参考にされています。
一般的な比重計のタイプの使い方は、規定の位置まで水を入れたあと、調べたい金属を水の中にいれてボタンを押すだけです。すると分析結果が表示されますので、比重値表と見比べることで、金の純度を判別できます。
この際、水や金属が汚れていると正確な比重を測れないためあらかじめきれいに掃除しておきましょう。金製品の一部が水から出ていると、正確に計測できないため、完全に水に浸かっていることを確認してからボタンを押すようにしましょう。
また、金製品を水に入れる際に、気泡が発生しないように静かに入れるのもポイントです。気泡が発生すると、正確な比重が出ないことがあります。
比重計の種類によっては、使い方が異なる可能性もあるため、取扱説明書を確認して利用するようにしてください。また、より正確な比重の値を調べたい場合、小数点以下まで計測できる比重計を使いましょう。
比重計は多くの買取店や質屋が備えている機器ですので、査定依頼をすればプロの査定員が金の比重を算出してくれます。(ただし必ずしも比重計を使うわけではありません)
金の純度がわからないという方は、買取店に査定を依頼するのも一つの手段でしょう。
水中重量法による比重測定
2つ目は、水中に金製品を沈めることで測定する方法です。金の比重は専門機械を使わず、自宅にある道具を使うことで計測することも可能です。この方法には、下記の道具が必要になります。
- 比重を測りたい金製品
- 重量計
- 金製品が収まるサイズのプラスチック容器
- 糸、またはクリップ(針金を曲げたもの)
- 電卓・ペン
- 水
計測方法は、下記のようになります。
- 金製品の重さを計る
まずは比重を計測したい金製品の重量を測定しましょう。
- 容器に水を入れ重量計にのせる
次に、プラスチック容器に水を入れて、重量計にのせます。重量計をリセットし、重さを「0」にします。この際、水は金製品がすべて浸かる程度の量を入れておきます。
- 金製品を吊るして水の中にいれる
金製品をクリップや糸で吊るし、水の中に入れましょう。この際、金製品はすべて水の中に沈めることと、吊るすのに使った糸やクリップはなるべく水の中にいれないように気をつけましょう。
また、つるした金製品が容器の側面や底に触れないように注意しましょう。プラスチックの容器であれば、外側から水にどのくらい浸かっているか、容器に触れていないか、チェックできます。
- 計算して比重値を出す
最初に計測した①の重量÷(最初に計測した①の重量-③で計測した重量)の計算を行うと、その金製品の比重を算出できます。
金の比重の計算方法は?
金の比重の計算式は、次のとおりです。
比重値 = 金製品の重さ ÷ 金製品の体積
上記で説明した手順で金製品の重量(手順①)を、金製品の体積(手順①-手順③)で割ることで比重値が算出できます。
計算例:お手持ちの金製品の比重算出
では実際に、須賀質店が買取したお品物を例に比重を確認してみましょう。今回は18金の喜平ブレスレットで実際に作業を行います。
- 先ずは重量計で重さをはかります。こちらのブレスレットは11gでした。
- 次に容器に水を入れ重量計にのせます。このとき水と容器の重さは必要ないので、容器を重量計にのせた後にリセットをして重量が0となるようにしましょう。
- ブレスレットを糸などで吊るして水の中にいれます。ブレスレット全体が水中に浸かるように入れますが、この時容器の側面や底に触れないように注意してください。重量計の表示は48gでした。
- 計算して比重値を確認します。
25.11(①の重量)÷{25.11(①の重量)-23.48(③の重量)}=15.40
18金の比重値は14.84〜16.12であり、この範囲内に収まっているので18金であると判断する事ができました。
金の比重を調べる際に注意すること
上記で紹介した、比重から金の純度を算出する方法は、必ずしも万能とは言えません。
金の比重は、製品の形状によっては体積を正しく計測することができません。例えばダイヤモンドやパールなどの宝石がたくさんついている、金以外の貴金属が含まれている製品は、正確な比重を導き出すのが困難です。
金に近い比重であるタングステンを使用している場合も、比重だけでは金との区別がつかないため判断ができません。製品の内部に空洞がある場合も、水中で空気を抜くことが出来ず正確な比重値を算出することが困難です。また金が使われている腕時計なども水に沈めることができません。
金の比重が計測できない場合、金の刻印を見て判断しましょう。純度と刻印は下記のようになります。
金の純度 | 刻印 | 金の配合率 | 比重(密度:g/cm3) |
24金 | K24 Au1000 Au999 | 99.9%以上 | 19.13~19.51 |
22金 | K22 Au916 | 91.6% | 17.45〜18.24 |
18金 | K18 Au750 | 75% | 14.84〜16.12 |
14金 | K14 Au585 | 58.5% | 12.91〜14.44 |
10金 | K10 Au416 | 41.7% | 11.42~13.09 |
まとめ
金の比重とは、金の密度を示す数値です。金は加工や強度を高めるため、他の金属を混ぜた合金が多いですが、金の純度がわからない製品でも、金の比重をはかることで純度を調べる事ができます。水中重量法は自宅でも比重を測定できますが、作業が面倒に感じたり、金製品の構造や宝石の有無によっては、きちんと比重が測れない製品もあります。
須賀質店では金製品の買取実績が豊富で、これまでさまざまな金製品の買い取りを行ってきました。金の純度がわからない製品を売りたいという方は、お気軽にご相談ください。