金の売却時に税金がかからない方法とは?注意点や効果的な節税方法を紹介
金の相場は近年高まっており「金を資産として保有したい」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし金で気をつけなければいけないのが税金です。金は売却したときや相続したときに税金がかかる場合があります。
この記事では、金の売却や相続の際に発生する税金や、節税の方法について解説します。すでに金を持っている方はもちろん、これから金を保有したいという方もぜひ参考にしてみて下さい。
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金売却で税金がかからない方法とは
金は、売却益が50万円以下であれば課税対象になりません。金の売却によって得られる利益は「譲渡所得」に該当し、税金は以下のような計算で求められます。
金の売却金額 ― (金の購入費用) ― 特別控除50万円 =課税対象金額
例えば100万円で購入した金が、150万円で売却できた場合、下記のようになります。
- 課税対象外のケース
150万円 ― 100万円 ― 50万円 =0円
この場合、利益は50万円ですが特別控除の50万円を差し引くことで、金額が0円になるため、課税対象外となります。
しかし金の売却益が大きいと、税金がかかります。例えば、500万円で購入した金が700万円で売れた場合、下記のようになります。
- 課税対象のケース
700万円 ― 500万円 ― 50万円 =150万円
この場合、150万円に対して税金がかかります。
ただし、金を5年以上保有することで、課税対象額が半分になります。これは後ほど説明します。
金の売却益は譲渡所得となり、課税される
金を売却して利益を得ると、基本的には「譲渡所得」として課税対象となります。譲渡所得とは、一般的に土地や建物、株式などの資産を譲渡することによって生じる所得のことで、金はこうした資産に含まれます。
譲渡所得以外になるケース
金の売却益は、基本的に譲渡所得として扱われますが、中には例外もあります。ここでは譲渡所得以外の「雑所得」「事業所得」になるケースについて説明します。
「雑所得」に分類される
個人でも、利益を得る目的で繰り返し金の売却を行っている場合は、譲渡所得ではなく雑所得扱いになります。雑所得は、所得の分類に当てはまらない所得全般をさします。雑所得も、他の所得と同じように課税対象となります。
「事業所得」に分類される
金の売却で事業を行い、利益を得ている場合は「事業所得」に該当します。事業とは、その仕事を繰り返し継続しており、独立して営まれていること、社会通念上「事業である」と認められていることをさします。事業所得も課税対象となります。
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金を売却した際の確定申告の方法
1月1日~12月31日の1年間を通じて、金の売却で50万円以上の利益が出た場合は、確定申告が必要です。確定申告とは、1年間の所得に対する納税額を計算して申告し、過不足分を精算する手続きのことをさします。
確定申告の提出期間は、利益が発生した翌年の2月16日~3月15日です。確定申告の書類作成には、金の売却時の書類や所得を証明する書類が必要になるため、しっかりと保管しておきましょう。
確定申告の提出は、下記の方法から選択できます。
提出方法 | 説明・注意事項など |
e-tax | インターネット上で受付しており24時間提出可能 |
郵送 | 書類を所定の税務署に郵送する方法 |
税務署窓口 | 税務署に出向いて書類を提出する方法 |
時間外収受箱
(所轄の税務署) |
上記の税務署窓口の開庁時間外でも提出可能 |
金を相続・贈与された場合の税金
金の売却だけでなく、相続や贈与された場合も、税金がかかる場合があります。ここでは、相続と贈与で発生する税金について解説します。
金を相続されたケース
金を相続した場合、相続税がかかります。ただし相続税には基礎控除があります。基礎控除額の計算式は下記のとおりです。
「3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)」
例えば、金を含む相続財産の総額が1億円、法定相続人数が4人の場合
3000万円 + (600万円 ×4人) =5400万円(基礎控除額)
1億円(相続財産) ― 5400万円 = 4600万円(課税対象額)
となります。
また、相続財産の総額が4000万円、法定相続人数が3人の場合
3000万円 + (600万円 ×3人) =4800万円(基礎控除額)
4000万円(相続財産) ― 4800万円 = -800万円
この場合、マイナスとなるため非課税となります。
金を贈与されたケース
金を贈与された場合、贈与税がかかります。贈与税は個人から財産を贈与された場合にかかる税金で、法人からの場合は所得税がかかります。
贈与税にも基礎控除があり、「財産を贈与された人ひとりあたり年間110万円まで」は控除に該当します。
そのため、1年以内に110万円以上の金を贈与された場合は、贈与税がかかりますが、それ以下の場合は非課税です。例えば、1100万円分の金を1度に贈与すると贈与税が発生しますが、110万円ずつ10年かけて贈与すれば、非課税となります。
金の売却でかかる税金の節約方法
ここでは、金の売却でかかる税金を抑えるための節税方法を4つご紹介します。
売却益が控除額を下回るように調整する
前章で説明した通り、金の売却益でかかる譲渡所得には、50万円の控除額があります。そのため、金の売却益が50万円を下回るようにすれば、所得税の発生を抑えることができます。
例えば、金を多く保有している場合、一気に売却するのではなく複数年にわけて売却するのが良いでしょう。売却する金の量が多くなれば、その分売却益も大きくなるため、小分けに売却する方法は効果的です。
ただし、金の価格は常に変動しているため年単位で売却を見送っていると、金の価値が下がり、売却益が減るまたは損をするリスクがあることを念頭に置いておきましょう。
金の購入後5年以上待ってから売却する
「金売却で税金がかからない方法とは」で説明した譲渡所得ですが、金の保有期間が5年以上になる場合、特別控除を差し引いた後の額の半分が課税対象となります。つまり5年以内の保有では、
700万円(金の売却金額) ― 500万円(金の購入費用) ― 50万円(特別控除) =150万円(短期譲渡所得)
ですが、5年以上保有の場合、
700万円(金の売却金額) ― 500万円(金の購入費用) ― 50万円(特別控除) =150万円 ÷2 =75万円(長期譲渡所得)
と半額になります。すぐに金銭が必要な場合以外は、5年間は保有したほうが良いでしょう。
購入時に受け取る「計算書」を保管する
金の購入時には、金の購入価格や時期などを証明する「計算書」を受け取ります。金の売却益にかかる税金を抑えるためには、この計算書の保管が欠かせません。なぜなら、税金の計算をする際にこの計算書をもとにしているからです。
この計算書を紛失してしまうと、売却金額の95%が売却益とみなされてしまいます。前章で紹介した例で言うと、700万円の売却益のうち500万円は金の購入費用であるため、200万円が売却益となります。
しかし計算書がないと、700万円×95%=665万円が売却益となってしまいます。大幅に課税対象額が増えてしまうため、注意が必要です。
相続財産を相続税の申告期限から3年以内に売却する
相続した金を売却する場合は、3年以内に売ると税金を減額できます。これは「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」によって、相続税の申告期限から3年以内に売却すると、相続税を取得費として計上できるためです。そうすることで、譲渡所得税の負担を軽減できます。
取得費に加算する相続税額は、下記のように計算します。
相続税 × 相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額 ÷ (相続財産の価格 + 精算課税適用財産の価格 + 純資産に加算される暦年課税分の贈与財産の金額) = 取得費に加算する相続税額
金の売却で損失が出た場合
金の売却では、当然、損失が発生することもあります。その場合、一定条件を満たしていれば損失分を控除に回すことができます。これを損益通算と呼びます。控除は譲渡所得、雑所得、事業所得に分類されますが、それぞれ決まりが異なります。
譲渡所得の場合
金売却で生じた損を、同一年に生じた他の譲渡所得の利益と相殺することができます。例えば、金での損失が50万、株式での利益が100万円だった場合
譲渡益
100万円(利益) ― 50万円(損失) =50万円
課税対象額
50万円(譲渡益) ― 50万円(控除額) = 0円
となります。
ただし、金は「生活に通常必要ではない資産」に該当するため、譲渡所得以外の所得との損益通算はできません。
雑所得の場合
雑所得も、譲渡所得と同じく同一年中に生じた雑所得の利益と相殺ができます。ただし、雑所得以外の所得との損益通算はできません。
事業所得の場合
金の売却益が事業所得に分類される場合、給与所得や譲渡所得などの他の所得と損益通算ができます。損益通算をしても損失が残る場合、青色申告をすることで翌年から3年間、繰越控除が可能となります。
また、事業所得の場合、本年度の赤字分を翌年ではなく前年に繰り戻して税金の還付を受けることもできます。
まとめ
金売却時の税金や、節税方法について解説しました。金を売却して得た利益は、基本的に譲渡所得に該当します。譲渡所得には年間50万円の基礎控除があり、50万円以下は税金がかかりません。また、税金の計算には金の取得価格を証明する計算書が必要のため、しっかりと保管するようにしましょう。
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