白金族・パラジウム 特徴・価格・用途について徹底解説
パラジウムは白金族の一種で、自動車のエンジンや水素エネルギー分野など、工業分野を中心に広く使われています。貴金属と言うと、金やプラチナを思い浮かべる方が多いですが、実はパラジウムも近年注目が集まっている金属なのです。しかし「パラジウムってどんなものなのかよくわからない」「パラジウムって何に使われているの?」と感じている方も多いかと思います。そこで今回は、パラジウムの特徴や用途について解説していきます。
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目次
パラジウムの基本情報
パラジウムとは白銀色の貴金属で、元素記号は「Pd」と表記されます。プラチナ系の金属の一種で比較的加工しやすいため、さまざまな分野で使われています。発見されたのは1802年と、古来より使われてきた金と比べると、その歴史は浅め。さらにパラジウムの産出量は年間200トン前後で、3000トンの金と比べても産出量は少ないです。パラジウムは金よりも埋蔵量が圧倒的に少なく、希少性が高いレアメタルの一つとされています。
また、産出地がロシアと南アフリカのみで、どこでも産出できるわけではありません。とくに近年は、ロシアウクライナ情勢の影響で流通が不安定となり、高値で取引されることもあります。
投資として知名度が高いのは金やプラチナですが、パラジウムも投資対象として注目が集まってきています。また、新たな産業技術の発展に伴い、パラジウムの需要は拡大しています。こうした点からも、今後需要が伸び価値が高まっていくのではないかと関心が集まっています。
パラジウムの特徴について
パラジウムは貴金属の一種ですが、他にはない独自の特徴があります。ここでは、パラジウムの特徴を2つご紹介します。
水素の吸収量が多い
パラジウムには、水素の吸収量が多いという特徴があります。その量は体積の935倍にも及びます。そのため水素吸蔵金属や水素分離膜といった実用化に向けた研究が、盛んに行われています。まだ具体的な実用化にはなっていませんが、クリーンエネルギー技術の観点から水素エネルギーは注目が集まっています。今後、水素エネルギーの貯蔵と輸送の分野で重要な役割を果たす可能性があります。
融点が低い
融点が低いことも特徴の一つです。融点とは、個体が液体に変わる融解が起きる温度のこと。融点が低い金属ほど加工がしやすいので多方面で重宝されます。
パラジウムの融点は、1,552℃で鉄と同程度なため、比較的加工がしやすい金属として重宝されています。とくに電子機器や化学工業で利用されており、今後の技術発展に伴いその幅は更に広がるとされています。
パラジウムとアレルギー反応について
加工の容易さなどから実用性が高いパラジウムですが、その一方でアレルギー反応を起こしやすいという特徴もあります。金属アレルギーは、汗と金属が反応して金属成分が微量に溶けだし、体内のタンパク質と結びつき、新たなタンパク質ができます。この新たなタンパク質がアレルゲンとなり、身体がこれを攻撃することでアレルギー反応として異変が現れるのです。
そのため装飾品や歯科治療などの直接肌に触れる製品では、安全面で懸念がありパラジウムを避ける場合もあります。「パラジウムフリー」を謳うものが装飾品でも販売されていますので、金属アレルギーの方は地金素材をよく確認して選ぶようにしましょう。
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数値から見る|パラジウムとプラチナの違い
パラジウムとプラチナは同じ白金族のため多くの共通点があります。そのため「パラジウムとプラチナの違いがわからない」という質問もいただきます。両者の違いは表にするとわかりやすいです。
パラジウム | プラチナ | |
比重 | 12 | 21.4 |
硬度 | 高い | 低い |
パラジウムはプラチナよりも比重が低く、パラジウムはプラチナよりも軽い金属であると言えます。また、パラジウムはプラチナよりも硬度が高いため、プラチナの強度を高めるための割金として用いられることがあります。
パラジウムの用途について
金やプラチナといった貴金属は、ジュエリーとして見かけることも多いかと思います。パラジウムもジュエリーとしての需要がありますが、他にもさまざまな用途に用いられています。ここではパラジウムの主な用途を5つ解説します。
ジュエリー・装飾品の素材
パラジウムは、ジュエリーや装飾品に取り入れられています。とくにプラチナは強度が心もとないため、パラジウムを割金として使い強度を高めています。プラチナだけでなく、ホワイトゴールドやシルバーアクセサリーの強度を高めるためにもパラジウムはよく使われており、近年ではパラジウムの結婚指輪も人気を集めています。ただし近年パラジウムの価値が上昇傾向で推移しており、割金ではパラジウムを使わない製品が増えてきています。
銀歯としての利用
歯医者の治療で使われる銀歯でもパラジウムは使用されています。銀歯は、銀だけでなく金やパラジウム、銅などが使われています。パラジウム20%、金12%がJIS規格で定められており、その他には銀が約50%、銅などが約20%となるようです。近年は金属アレルギーの観点から、日本以外の国では「パラジウムフリー」の素材が歯科治療では推奨されています。
自動車用の触媒
パラジウムは、自動車の排気ガスなど有害物質を取り除くための触媒として使われています。自動車の排気ガスには、窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素といった有害物質がありますが、パラジウムを使うことによって炭化水素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素に変換することができます。プラチナでも同様の効果を得られますが、価格のバランスからパラジウムが使われることが多くなっています。
水素センサー
水素を検知するセンサーにもパラジウムは用いられています。パラジウムの水素を多く吸収するという特徴を活用し、水素センサーとしての研究・開発が進められています。水素エネルギーは環境問題を解決する方法の1つとして着目されおり、自動車のエンジンや発電エネルギーとして水素に注目が集まっています。但し水素は爆発しやすい物質のため、安全に使うためには水素を検知するセンサーが必要不可欠です。そうした検知器としてパラジウムが活用できると期待されています。
電気・電子工業部品
パラジウムは電気や電子工業部品として用いられています。電子回路の基本となるコンデンサーという電子部品にパラジウムが使われています。コンデンサーは電気の貯蔵や放出を行う部品で、冷蔵庫や洗濯機、パソコン、スマートフォンなど身近な電化製品にパラジウムが用いられています。近年はより安価なニッケルといった金属に代替されつつありますが、特定の用途にはパラジウムでしか対応できないため、依然として重要な素材です。
パラジウムの価格は高騰している?
パラジウムは、これまで金やプラチナと比べるとそこまで高騰している金属とは言えませんでした。しかし2020年から2022年頃まで価格が一気に高騰していました。これはパラジウムの産出国であるロシアへのアメリカやEUによる、経済制裁が原因とされています。時間が経ち現在は高騰も収まった印象ですが、一定の価値はキープしている印象です。パラジウムが一定の価値を保っているうちに売却してしまうのも良いでしょう。
使用していないパラジウム製品がある場合は一度「須賀質店」まで
須賀質店は、東京の五反田、渋谷、池袋に店舗を構える老舗質屋です。これまでパラジウムを含んだ素材やプラチナ、金など数多くの貴金属製品の買い取りを行ってきました。長年にわたり貴金属を取り扱っており、他店よりも高く買い取る事ができる体制を築き上げています。壊れたアクセサリーや片方しかないピアス、金種のわからない製品など他店で受付てもらえなかったお品物も査定いたします。使っていない貴金属製品がある方は、ぜひ須賀質店にお問い合わせください。
まとめ
パラジウムの特徴や用途などを解説しました。パラジウムは白金族の一種で、自動車産業を中心にさまざまな分野で使われています。貴金属では金が有名ですが、実は金よりも産出量が少なく産出国も限られています。そのため経済制裁などによって価格が変動しやすい金属でもあります。
須賀質店ではパラジウムを含んだ素材など、貴金属の買取実績が豊富にございます。使っていない貴金属がある方は、お気軽にお問い合わせください。