純金積立はやめとけ?「金のプロ」質屋が教える、オススメしない理由と仕組み【鑑定士監修】
純金積立は、少額かつ安定的な資産として注目が集まっていますが、「やめとけ」「おすすめしない」と言われることもあります。なぜ、純金積立はやめとけと言われるのでしょうか?
今回は金の売買を長年にわたって行ってきた老舗質屋の須賀質店が、純金積立の仕組みやおすすめしない理由を解説します。「純金積立はやめとけ」と言われた方はもちろん、純金や実物資産に興味があるという方もぜひ参考にしてみてください。
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1 純金積立とは?仕組みや特徴
純金積立とは、毎月定期的に純金を自動購入する仕組みのことです。購入金額を決めて、その価格分の純金を購入する定額積立と、購入する金のグラム数を決めて購入する定量積立があります。
積み立てた金は運営会社を通じて現金化でき、購入額より高く売却できれば利益が得られます。金の相場は日々変動していますが、基本的に右肩上がりとなっているため、長期間積み立てることで利益が得られる可能性を高めることができます。しかし、売却時に購入額を下回るリスクもあります。
純金積立の特徴は、月々1,000円~という少額でも始められる点です。また、金は株式証券や不動産よりも相場が安定しているため、初心者でも投資しやすいのも魅力です。
近年は、感染症や世界情勢の不安定さによって、実物資産を保有する方が増加しています。そういった中で、純金積立は少額かつ安定的な資産として注目を集めています。
関連リンク:純金とは?特徴や保有するメリット・デメリット、純度を調べる方法について解説
2 純金積立にメリットがある場合
純金積立にはメリット・デメリットがあります。まずはどのような場合にメリットを感じられるのか解説します。
2-1 少額から始めたい場合
純金積立は、少額から始められるメリットがあります。金の相場はここ数年で高騰しており、24金のインゴットは10gでも10万円以上します。そのため、投資や金の購入が初めてという方にはハードルが高いと感じてしまいます。しかし純金積立の場合、毎月1,000円など少額から始めることができます。
純金積立を定額で行う場合、価格が低いときには購入量が増え、価格が高いときには購入量が少なくなり平均購入単価を抑えられる「ドルコスト平均法」が適用されます。まずは少額で始めたい方には、純金積立のメリットを感じられるでしょう。
2-2 リスク分散をしたい場合
すでに株式証券や不動産、その他複数の投資を行っているという方にとっては、純金積立はリスク分散につながります。とくに、金は株式市場が下落した際に相場が上がる傾向があります。実際に2020年にコロナウイルスが蔓延した際、株式や債券の価値が暴落したのに対し、金の相場が上昇したという事例もあります。
そのため、ポートフォリオを多様化して安全性を高めたいという方に、純金投資はメリットがあります。ただし、純金積立は売却するまで利益は得られません。他の投資と組み合わせて利用するのがおすすめです。
2-3 短期的な利益の獲得を急がない場合
純金積立は、長期的にコツコツと積み上げていくタイプの投資方法です。金は長期的にみると相場が上昇しているため、短期的に利益は得られなくても、長く保有して利益を得られる可能性を高めています。
反対に、すぐに利益を獲得したいという場合は純金積立にメリットは感じられないでしょう。金相場は日々変動していますが、上昇したとしてもその幅は小さく短期で利益を獲得するには多額の投資をしなければいけません。また日によっては下落する事もありますので、長期的な運用を前提として始める必要があります。長期的に資産形成をしていきたい場合には、ポートフォリオの一つとして純金積立はオススメです。
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3 純金積立が「やめとけ」と言われるのはなぜ?
次に純金積立がなぜ「やめとけ」と言われるのか、その4つの理由を解説します。
3-1 手数料が高い
1つ目の理由は、手数料が高い点です。純金積立は、買付時に手数料がかかります。運営会社によって手数料は変わりますが、2~3%が一般的です。株式投資にかかる手数料は1%と言われているため、他の方法に比べて割高と言われています。
また買付時以外にも、年会費や引き出し手数料などがかかることもあります。金相場の上がり幅が手数料と同等であれば、利益がほとんど出ないこともあると理解しておきましょう。
3-2 利息・配当金がない
株式や債券、不動産などの資産では、保有していれば配当金や株主優待、利息、家賃収入などのインカムゲインが入ってきます。しかし純金積立では、こうしたものは入ってきません。金を資産として保有できますが、あくまでも保有しているだけでは利息や配当金にはつながらず、売却した時に初めて利益を得られる仕組みとなっています。資産保有で利息や配当金を得たいという方は、他の投資方法を組み合わせて利用しましょう。
3-3 売却益が小さい
純金積立は、売却益が小さいと言われています。購入価格と買取価格の差額が大きいため、資産の売却益が減ってしまいます。投資用語では、これを「スプレッドが広い」と言います。
一般的にはスプレッドが狭いほうが利益は多く、スプレッドが広いと利益が少なくなると言われています。純金積立は、他の投資方法よりもスプレッドが広く設定されているため、売却しても得られる利益が低いとされています。
3-4 相対価値が不安定で、メインの投資先に向かない
金の相場は相対的に価値が変動するため、メインの投資先には向いていません。金の相場は為替や米国の経済状況に大きく影響されており、これらの市場が上昇しているときは、下落傾向にあります。他の資産と比べれば安定性は高いと言えますが、100%安定しているとは言い切れません。
資産をすべて純金積立や金として保有するのではなく、あくまでもメインは他の投資にして、リスク分散のために金を保有するのがオススメです。
4 純金積立をオススメできないのはどんな人?
純金積立は、オススメできる人とそうでない人がいます。ここではオススメできない人の特徴を解説します。
4-1 手数料をかけたくない人
手数料をかけたくない人には、純金積立はオススメできません。純金積立は、株式投資よりも買付手数料が高く、運営会社によっては保管費用や年会費などもかかります。金相場が思う様に上昇しなければ、手数料で利益が相殺されてしまう場合もあるため、手数料をかけずに資産運用をしたい方は、別の方法を検討するようにしましょう。手数料をかけずに実物資産を持ちたい方は、金の現物保有がオススメです。
4-2 米ドルの値動き・経済情勢に詳しくない人
純金積立は、米ドルの値動きや米国の経済情勢に大きく影響されます。基本的に米ドルが上がれば金の相場は下がり、米ドルが下がれば金の相場は上がる傾向にあります。そのため、為替や経済情勢に興味がない・詳しくない人は金の相場の変動を見極めることが難しくなります。手数料のかかる純金積立は、売却時には市場の変動を見極める必要があるため、利益確保のチャンスを逃してしまう可能性が高くなります。
5 金は現物保有がオススメ!
「純金積立はやめとけ」と言われることが多いですが、金の相場はここ数年上昇しており、金での資産保有を検討している方も多いかと思います。
そんな方にオススメなのが、金の現物保有です。金を現物で保有していれば純金積立のデメリットである、手数料が高いという点はクリアできます。また、すでに株式や債券などの資産を保有している方にとっては、分散投資ができます。
純金積立では運営会社への口座開設の登録をしなければいけません。個人情報や口座情報などの審査もあるため、すぐに純金積立を始めるのは困難と言えます。しかし金の現物保有であれば、専門店や質屋、ネットショップで購入することができます。
投資である以上、100%の安全性は保障できませんが、手数料もかからず相場も右肩上がりのため、他の投資と比べると金の保有は安全性が高いと言われています。
投資のリスク分散や、初めて投資を行う方、長期的に資産を拡大していきたいという方は、金の現物保有がオススメです。
6 まとめ
純金積立はやめとけと言われる理由や仕組み、メリットについて解説しました。純金積立は手数料が高く、売却益が少ないなどの理由から「やめとけ」と言われることがあります。投資のリスク分散や、長期的な利益確保という金のメリットを最大限確保したいのなら、現物保有がオススメです。金の現物保有であれば、手数料をかけずに分散投資することができます。実物資産の保有や分散投資をしたい方は、金の現物保有を検討してみてはいかがでしょうか。